20260112

26-B00 The Obliteration of my ADOLESCENCE

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???「来たか。」
   「お前には、多少無理してでも真っ当に生き延びて貰わねばならぬからな。」
   「お前の現状を変えてやろう。」
   「ただし、物事には犠牲が付き物だ。」
   「お前、過去のフラッシュバックに苦しんできただろう?」
   「その『過去の記憶に繋がる全て』を差し出してくれれば、叶えてやろう。」
   「なに、貰うものはこれで充分だ。」
   「どうせ、地元に馴染んでいないんだろう?」
   「どうせ、大学にも碌な付き合いがないんだろう?」
   「どうせ、素性の知れぬ輩としか付き合えなかったんだろう?」
   「なら、お前の望みを叶えるついでだ。」
   「新しい場所に行け。」
   「ここで自暴自棄される程度なら、行きたいところに出て行ってくれ。」
   「どうせ地元で生きて行けぬ奴、生かしておくには外に追い出すしかねえからな。」
   「お前からすりゃ、フラッシュバックもできなくなるから一石二鳥だろう?」

わたし『全部知ってたような感じだな。』
   『いいだろう、その程度、カネと寿命払ってでも処分したかったからな。』
   『そんなオマケまでしてもらって、本当に良いのか?って感じだぞ。』

???「もう貰うものは全部貰った。」
   「次に現実世界で目を覚ます頃には、お前は勝手に動いているだろう。」
   「そして、お前からは次々に記憶が消えていくはずだ。」
   「せいぜい頑張ってこい。」
   「俺はあくまで{通りすがり}だから、な…」

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今思うと、自分が認識できない異世界でこのような取引が起こったのだろうか。
そう言ってもおかしくない程度には、何もかもギリギリのタイミングで、全てにおいて都合よく物事が進んでいた。
そして、無事に国家資格を取得し、就職を機に出生地を離れた。

そうして失った青春時代に対し。
同期が学部時代の懐古で盛り上がっているのを見ても。
私には、何もできない。
「記憶がなくて…」「何も覚えてなくて…」としか言えない。

そこで、昨年は何とか「過去の記憶を作る」ために夏休みを消費した。
だけど。
そこで作られたのは『社会人になってからの記憶』だった。
『学部時代の思い出』は上書きできなかった。
「気枯れたエピソード」を「真空」で書き換えることは成功した。
だけど。
その成功体験が活きることはなかった。
あるものを亡くすことはできても、亡き者を産み出すことはできなかった。

この瞬間、私は(所謂)青春時代を、完全に喪った。

残ったのは、大量のレシートと、国家資格を有する生身の自分だけだった。

さて、ここからどうするか。

故郷が変わる、というイレギュラーも受け入れた俺だが。
いきなり「強化済みの初期装備」を持ったまま、この世に出てきたということなのか。
下手なRPGでも普通はLv1・固有スキルと未強化の初期装備のみを持った状態で開始だろうに。
物理的・権利的に保有している資産と、どこで学習したか全くわからない知識が初期装備とは。
自分が自分と思えない、そんな瞬間もある。

だけど。
いや、だからこそ。

ここは「強化済みの装備を持ってスタートダッシュできた」と、前向きに考えることにしよう。
ここはもう、敵しかいない魔境ではないのだから。

~2026.01.13~

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